風水で扱う「気」とは、すべての物質を構成しているエネルギーです。
たとえば、岩石が岩石として壊れないで存在しているエネルギーや、家が家として壊れないで存在しているエネルギーを言います。
そして人が人として形作られ、生きて生活していられるエネルギーです。
ですから「気」がなくなれば、岩石は崩れて砂になり、家は崩壊してがれきとなり、やがてチリとなります。
人は、「気」がなくなることで死んでしまい、その後肉体は腐って土に帰るのです。
別な言い方をすれば、生物にとっては「気」を生命力といってもいいですし、インドのヨガではプラーナとかオーラなどと表現されています。
「気」を広い範囲で言えば、万物を崩壊させない力「ネゲントロピー」といっても良いでしょう。
ネゲントロピーとは?
ネゲントロピー (negentropy) は、生命などの系が、エントロピーの増大の法則に逆らうように、エントロピーの低い状態が保たれていることを指す用語である。単に、エントロピーを減少させる物理量、という意味でも使われる。
エントロピーの増大とは、たとえば人間で言えば老化することをいいます。
どんな生命体も、生まれてからどんどん崩壊に向かっていくエネルギー(エントロピー)が増大するという事です。
物質も宇宙形成から始まって、どんどん崩壊に向かっていっているといわれています。
「気」へのアプローチ気功
ですから、物質として存在するすべてのもの(生命体も含めて)は、徐々に壊れていき、永遠にそのままでいられるものはありません。
それでネゲントロピーとは、その反対をいうのですが、人で言うと若返るという事です。
もちろん老人が若返るなど、そんな話はあまり聞いた事がないでしょう。
でも、「気」を上手に活用すれば若返るといっても過言ではない、パワフルな「強い生命力」を得られるのです。
中華五術では、この「気」について長く研究してきています。
五術とは
命術:生年月日から人の宿命や運、時期などを断ずる術
卜術:現れた結果(易など)から未来を予測する術
相術:見える形から見えない内面を判断する術
山術:健康で長生きを目指した人体の質を向上させる術
医術:病んだ人体を治療する術
をいい、中国の伝統文化であり、1000年以上研究されてきた神秘学を含んだ学問です。
その中で山(ざん)に属する気功などは、その代表的な研究結果でしょう。
人に対するアプローチとして、体を動かす気功法(動功)や呼吸法、瞑想法などで、「気」を体内に取り入れたり高めたりするという方法です。
特に仙家(仙道家)といって、気を上手にコントロールして仙人を目指した人々は、それらを駆使して若々しく長生きできたと言われています。
仙道の術で一般的に有名なのは房中術や導引術などですが、一般に知られているより実際の技法は深く、また論理的になっています。
これについては、後ほど詳しく解説します。
「気」へのもう一つのアプローチが風水
古代から研究されてきた暦や天文学から、大地や地球も人と同じように生きていて、似たような構造をしているととらえていました。
地球も大地に「気」が流れ、「気」が現れたり集中する場所や構造があり、それが人体の構造に似ていることに気がついたのです。
そして大地を流れる「気」を、お墓や家で上手に集めて用いようと考えたのが風水の始まりでした。
「気」は風に乗って散じ、水に出会って止まる
これは風水古典と言われる葬經(そうきょう)に登場する有名な一文です。
つまり、大地の「気」は風が吹きつけるとなくなってしまい、水にであうとその水にとどまるというのです。
そして、私たち人は体を構成している成分の7割ほどが水。
ですから「気」(生命力)を蓄えやすく、影響を受けやすいわけです。
人の体で「気」が集まる場所をツボといい、「気」が流れる場所を経絡といいます。
実際に医学的にみてそのような器官があるわけではありません。
しかし鍼灸治療などでツボを刺激して「気」の流れをコントロールし、体の凝りや痛みを和らげ病気の治療などに効果を発揮しています。
風水では、宅の向きで「気」を上手にとらえ、間取りの配置などで「気」の質があう場所を、必要な部屋として用います。
また、雨水の流れをコントロールして、上手に流したり出したりして、健康を管理したり財をコントロールします。
これらの大地の「気」をコントロールする技法が風水技法なのです。
形や大きさ、勢いなどで「気」を判断するのが巒頭(らんとう)風水ですし、方位や時間などで「気」を判断するのが理気風水です。
どちらも大地の気を上手に集めてそこに住む人や、埋葬された人の子孫に良い影響を与えようとしました。
だれにでも「気」はある
これまでお話してきたように、「気」とは生命力そのものといえます。
ですから、だれにも「気」はありますし活用する事ができます。
もちろん、目に見えないエネルギーである事には違いありません。
ただ感じる事は可能です。
最初はあまり感じられなくても、練習をすれば誰にでも感じる事ができるようになります。
たとえば、伊勢神宮の内宮に行かれた人は多いと思います。
だれしもが話す感想として、「五十鈴川を越えると何か違いを感じる」という感想があります。
これは巒頭風水からすれば当たり前のこと。
龍穴(りゅうけつ)という、気が集中する場所の前には水が必要とされています。
それは「気」は水に出会ってとどまるからです。
龍穴の前の水を界水といいます。
五十鈴川はこの界水となっており、朝熊山の龍脈の強い「気」のエネルギーが、内宮のあたりにある龍穴に現れ五十鈴川でとどまっています。
つまり、五十鈴川を隔てて内宮側とおかげ横丁側では、感じる「気」の質がまったく違っているのです。
多くの人がその違いを感じているということは、だれでも「気」は感じられますし、練習次第では高める事も可能だといえるのです。
どうしたら「気」をとらえることができるのか
それでは、実際に仙道家や気功師などは、どうやって「気」を自分のものとして、健康になったり長生きしたり、人を癒したりしているのでしょうか?
先ほどお話したように、呼吸法や瞑想法、食餌法などを用います。
しかし仙道の呼吸法や瞑想法はかなり高度な技法でもあり、正しい師についてしっかり学んで訓練する必要があります。
そうでないと、自律神経失調や脳溢血、眼底出血などの病気、症状を引き起こす危険性があるのです。
そのことは詳しくは書きませんが、安全で誰でも取り組める方法について、最後にお伝えします。
「気」を高める方法
まず食餌法(しょくじほう)です。
これは「気」が旺盛な物を食べたり、飲んだりすれば良い事です。
簡単といえば簡単です。
実は、食事も材料や味付けで五行に分けられます。
本来は、五行のバランスをご自身の体質に合わせて(四柱推命で)食べるのが効果的です。
それ以外にも、漢方では熱タイプ、寒タイプ、実タイプ、虚タイプにわけて食事の内容を変えます。
ですが、そこまではなかなかできないでしょう。
そこで「気」が失われる食べ物、行動などをなるべくさけるようにしましょう。
「気」が失われる食べ物とは、白く精製されたものです。
白砂糖、牛乳、小麦粉、白米など
もちろん、これらは私たち日本人にとって主食となっている物が多いので、すべてやめろという事ではありません。
バランスをとって、食することです。
白砂糖をたくさん使ってある飲料水(缶珈琲やポカリスエットなど)、洋菓子、チョコ、アイスなどは極力少なく
乳製品もなるべく減らしましょう。
発酵食品は比較的安全ですが、添加物には注意してください。
添加物は新薬にちかいもので、やはり「気」を漏れさせてしまいます。
小麦粉はパンやうどん、ラーメン、ピザやパスタなど、私も大好きなものが多いです。
これらもなるべく少なめにして、オーガニックで信頼できる物を選びましょう。
再加熱した食品も、本来の「気」がなくなっています。
そして、電子レンジは「気」を破壊する機械です。
これらも避けた方が良いでしょう。
ここまでは、避ける方向のお話ですがここからは取り入れたいものについてです。
もっとも手軽に効果的に「気」を取り入れられるのが、朝鮮人参、高麗人参です。
「黄帝内經」にも、補気薬(気を補う薬)とされているのはこの高麗人参だけです。
いろんな種類があるので、余りやすいものは選ばないでください。
韓国で買ってくるなら有名なのは正官庄ですかね。
高麗人参以外では、根菜類やナッツ類が気を貯めています。
ナッツは、味の付いていないものが良いでしょう。
根菜類は地元の旬のものをいただいてください。
「気」が高まる呼吸法とは
次は簡単な呼吸法です。
気功の呼吸法の基本は腹式呼吸です。
これは、吸う時にお腹が膨らみ吐く時にお腹がへこむという呼吸法です。
これを、鼻から吸って鼻から出す
これだけです。
座禅をくんでもいいし、いすに腰掛けて行っても良いです。
そして、背筋はすこし丸く胸は張らず、腰も少し丸いぐらいがちょうど良い姿勢です。
「気」が巡りやすい姿勢を取るわけです。
そして、これが一番大事ですが目をつむって意識(イメージ)を、おへその下5cmから7cmぐらいの場所(丹田といいます)に集中してください。
舌を上あごにつけ、肛門をしめてゆっくり吸ってゆっくり吐く
最初は5分ぐらいから、徐々に長くして長くても30分ぐらいできると良いですね。
イメージをいれるだけで、呼吸法だけでなく実は安全な瞑想となっています。
食餌法と呼吸法をとりいれるだけで、習慣化できればかなり「気」を高め強めることができます。
いずれ本格的な気功については、教室など開きたいと思っています。
それまでは、是非ご自身で「気」をコントロールしてみてください。