伝統風水では、カーテンは室内の「気」の流れを調整し、外部からの殺気(さっき)を遮断するための実用的なインテリアとして考えています。

たとえば、古来から「壁刀(へきとう)」や「屋角(おくかく)」と呼ばれる形殺(けいさつ)が存在します。
これは、近隣の建物の角や鋭い構造物が自宅に向かって突きつけられるように見える状態を指し、鋭い気が一直線に住居へと流れ込むため、住んでいる人に精神的な圧迫や健康・人間関係への不調和をもたらします。
この場合「見えなくする」ことが基本的な風水改善となります。
ですが、窓を完全に塞ぐことは現実的ではありませんから、厚手のカーテンを用いて視覚的に気の遮断を行うのが有効となります。
昼間に厚いカーテンを閉じ切ってしまうと室内が暗くなりすぎるため、レースカーテンでも代用は可能です。
ただし、できるだけ布地が厚く重みのあるものを選んだ方が、外部からの気を遮断する力は高まります。
つまり、外部の形殺に対する風水的な改善策として、カーテンは非常に効果的であり、その役割は重要なのです。
ここで注目して欲しい点は「カーテンの色」よりも「厚み」の方が重要であるという点です。
よく相談を受ける内容に「カーテンや壁紙の色は何が良いですか?」というものがありますが、伝統風水において色彩の影響は比較的軽い影響にすぎません。
むしろ、空間の安定感や大地との連結を示す「床の色」や「材質」の方が、家全体の気の安定度に強く関わります。
ですからカーテンを選ぶ際には、風水的観点から色を厳密に考えなくても大丈夫です。
(八方位のすべてが色が違うと大変ですしね)
派手な原色以外ならば、心理的・感情的な作用を参考に選んでも良いかと思います。
たとえば、ブルー系の色調には精神を鎮め、リラックスを促す作用がありますし、グリーン系は心身の回復やバランスの回復をサポートします。
これらは風水というよりも心理学やカラーセラピーの領域ですが、併せて活用すれば居心地の良い空間づくりに役立つでしょう。
分かりやすく言うと、風水におけるカーテンの本質的な役割は二つです。
ひとつは「外部からの悪い気、殺気を遮断し、望ましくない景観(形殺)を見えなくすること」。
もうひとつは「開閉によって採光や通風を調整し、室内の気の流れを適切に保つこと」。
この二つの観点を意識することで、単なるインテリア用品としてではなく、住居の吉凶を左右する大切な風水アイテムとして、カーテンを活用することができるのです。
伝統風水師秀山