伝統的な風水では、建物の中だけでなく、周囲の地形や環境の影響を非常に重視するのです。
この「目に見える形」から判断する方法を 巒頭(らんとう)風水、または 地理風水 と呼びます。
山や川の流れ、道路の位置や建物の配置など、自然や人工物が作り出す環境を観察し、そこから吉凶を読み解くのです。
実は、伝統風水はこの巒頭風水から始まり、発展してきました。流派が異なっても、地形の見方に大きな違いはなく、ほぼ共通した判断が行われるのも特徴です。
一方で、目に見えないエネルギーを扱うのが 理気(りき)風水 です。
これは方位や時間の流れを重視し、八方位や二十四方位といった細かな方位の影響を分析します。
その際に使われるのが「羅経(らきょう)」または「羅盤(らばん)」と呼ばれる特別な方位磁石で、複雑な文字や記号が刻まれています。
しかし残念ながら、日本ではこの理気の部分ばかりが強調され、「家相」や「気学」といった独自解釈と混ざり合い、本来の伝統風水とは異なる、偏った情報が多く出回っているのが現状です。
伝統風水の正しい流れは、まず 地形(巒頭)を重視し、次に理気を考慮する というものです。
土地や建物に対する見方が、日本で一般的に知られているものとは根本的に異なるのです。
ですから、もしあなたが家を建てようと考え間取りに悩んでいるのであれば、その前に「立地」についてしっかり考えることをおすすめします。
というのも、その土地を選んだ時点で、すでにある程度の吉凶が決まっている場合が多いからです。
間取りの工夫やインテリアの調整も大切ですが、おおもとである「土地そのもの」の力を見極めることが、良い風水の家造りの第一歩といえるでしょう。
伝統風水師秀山


