山や大きな川が身近にない都市部では、地形の影響を受けにくいと考えてしまいがちです。
しかし、伝統風水の視点に立つと、都会の景観もまた立派な「自然の一部」として読み解くことができます。
風水では、そびえ立つ山々を「龍脈」と呼び、土地のエネルギーの流れを形づくる存在と考えます。
ところが都会には山がありません。
ではどう解釈するのかというと、実はビルやタワーのような大きな建物を「人工的な山」と見なします。
つまり高層ビルの配置や形は、自然の山と同じように「気」の流れを左右するのです。
そして川や水の流れにあたるものは「道路」や「鉄道」に置き換えられます。
人や車が絶えず行き来する道路は、水の流れと同じです。
なぜなら人体の70%程が水文だからなのです。
そして道路も財や運気の流れを左右します。
広場や公園、学校のグラウンドのような広い空間は「池」と同じようにとらえられ、気がとどまる場所だと考えます。
このように、都会の風水鑑定はむしろ複雑なものとなってきます。
周囲の建物や道路の配置を無視しては、良い風水の住居を考えることは不可能です。
たとえば財運(金運)を強めたい場合は、近くを走る道路が向かってくる方位や交差点の位置をよく調べる必要があります。
健康運を改善したい場合は、周辺の建物やビル。特にそびえる高層ビルの配置や形を分析することが欠かせません。
伝統風水は土地や建物の全体的なバランスを見極めてこそ効果を発揮するものです。
素人判断で何かを変えただけでは、かえって気の流れを乱してしまうこともあります。
だからこそ、具体的な改善策を実行する際には、必ず経験豊富な風水師に相談することをおすすめします。
都会に暮らしているからといって、風水の影響を受けないわけではありません。
むしろ人工物に囲まれた環境だからこそ、その象徴的な意味を正しく理解し、調和させる知恵が必要なのです。
風水は自然と人との調和を学ぶ古代からの智慧です。
都会の風景もまた、伝統風水の目で見れば自然の一部として写っているのです。
伝統風水師秀山


