だいたい170cmぐらいなのですが、正確には魯班尺(ろはんじゃく)という、独特の物差しで測ります。
お墓の寸法や建築の寸法も、これで測るのです。

少しアップしてみます。

この魯班尺は、中国の伝統建築や風水において使われてきた特殊な物差しで、その起源は春秋戦国時代にまでさかのぼります。
名前の由来となった「魯班(ろはん)」は、紀元前5世紀ごろに活躍したとされる伝説的な建築家で、中華圏では長い間 大工や建築技術の守護神として尊崇されてきました。
彼が考案したと伝えられる道具の一つが、この魯班尺です。
普通の物差しとの違いは、単に長さを測るだけでなく、「吉凶の意味」が寸法ごとに刻まれている点です。
これは建物や墓を造る際に、ただ構造的に正しい寸法をとるだけでなく、「良い運気を招く寸法」を選ぶための目安となっています。
魯班尺にはいくつかの種類がありますが、代表的なものには以下のような文字が書かれています。
財(ざい) … 財運・富を意味し、金銭的な恵みや繁栄を招くとされる。
丁(てい) … 家族の繁栄や子孫に恵まれることを意味する。
官(かん) … 出世や社会的地位の向上を象徴する。
本(ほん) … 家の基盤が安定し、長く続くことを表す。
病(びょう) … 病気や体調不良を招くとされる凶の寸法。
死(し) … 生命に関わる不吉な意味を持つ寸法。
苦(く) … 困難や不幸を暗示する寸法。
吉を示す文字には「財」「丁」「官」「本」など生活や家族の繁栄に直結する意味が与えられ、凶を示す文字には「病」「死」「苦」など避けるべき不吉な漢字が書かれています。
上段は住居や住居(陽宅)に関する吉凶、下段は墓(陰宅)に関する吉凶を表していて、一本の尺で両方を確認できるようになっています。
漢代から割と近世の清朝(〜1912年)ぐらいまでは、建築や墓造営の際に大工や石工が必ず魯班尺を用い、門の幅、柱の高さ、棺の寸法を吉の範囲に収めようとしました。
これにより「家は安泰、子孫は繁栄する」と信じられてきたのです。やがて魯班尺の思想は台湾や香港、華僑社会、日本の一部へと伝わり、今日でも門や仏壇、神棚の寸法を決める際に用いられています。
こういった使い方で、古代の風水と信仰、日常生活がいかに密接に結びついていたかを知ることができます。
つまり魯班尺は、ただの「寸法を測る道具」なだけではなく、人々の生活・信仰・運命観が凝縮された文化遺産ともいえる存在です。
このスケールが今なお中華圏で人気があるのは、そこに人々の安心や願いが込められているからだと思います。
実際に私が魯班尺を使う場面は、水法を鑑定した住居で神棚を設置する時です。
お奉りする高さを決める時に「財」と書かれた高さを使用します。
その高さが174.5センチです。
その位置に「財」という文字が記されており、この高さに財神を設置し水法の吉方位を用いて、さらに高さにもこだわることで、より効果的な改善ができると考えています。
神棚や、財神、土地公をお祀りする時は、この高さを意識して設置すると良いと考えています。
その他にも、日常使いの道具や家具などを魯班尺を使って吉となる大きさにこだわるというのも、風水という伝統文化に親しむ良い使い方だと思います。
伝統風水師秀山