けれども伝統風水では、正面{専門的には「向(こう)」と呼びます}を決める際に、玄関の向きだけで判断するわけではありません。
いくつか建物の向きを決める要素がありますが、もっとも大切なのは「気の旺盛さ」なのです。
気といえば「元気」「勇気」「やる気」など、エネルギーが湧き上がるイメージの言葉に使われます。
風水でも同じく、気は人を生かす力と考えますが、もっと具体的に言えば「空気の流れと量」でも説明できます。
つまり、どの方向から多くの空気が出入りするかによって、住まいの「向き」が決まってくるのです。
鉄筋コンクリート造のマンションを見てみてください。

玄関よりも、ベランダに面した大きな窓の方が、はるかに開放的で広いはずです。
さらに日当たりの良さもベランダ側に重きを置いて設計されています。
採光と空気の出入り、この二つを合わせると、マンションでは自然と「ベランダ側が正面」と考えるのが風水的に妥当となります。
ただし、取り付き道路との関係も無視できません。
なぜなら道路には動的な旺盛な気が行き交っているため、その道路に向いている面が旺気を取り込みやすいのです。
取り付き道路にベランダが面していれば、間違いなくそちらを向いた建物といえます。
そして間取りを見てみると、リビングや子供部屋など、活動的な空間をベランダ側に配置することが望ましいとされます。
逆に、寝室をベランダ側に置くと旺盛な陽気が流れ込み、落ち着かず眠りが浅くなることもあります。
せっかくの休息の場が安らがなくなるのは避けたいですよね。
ですからマンションの間取りを考えるときは、まず「ベランダ側の部屋をどう使うか」をしっかり検討することが、住まい全体の風水を整える第一歩になるのです。
伝統風水師秀山公式HP