春先で天気がいいと、花粉症に悩まされる方も多いかもしれません。
杉花粉が原因とも言われていますが、そもそも杉の花粉がなぜ多いかというと山が死んできているからです。
杉自体も種の保存のために、必死で花を咲かせるので花粉が大量に飛ぶことになるわけです。
都会の方にはわからないかもしれませんが、山がどんどん死んでいます。
山が死ぬと、川が死に、海が死んでいきます。
山が死んだ状態を、死龍といいます。
死龍には、雨がふると水を蓄える力がありません。
そうなると雨が降ったあと、川が真っ茶色に変色しています。
山に保水力がないと、表面が削れて赤土が流れ出し、川を汚します。
すると川のコケが死に、魚たちが死んでしまうのです。
そうやって生き物や有機物の連鎖が途切れてしまっているのが、実は全国の森林の現状です。
こちらの岐阜県郡上市にある山の一部をご覧下さい。
何も知らなければ、美しい山だと思うかもしれません。
でもよく見ていただくと
赤線の引いてあるところで、明らかに植生が違います。
わかりますか?
赤線の枠内は広葉樹、つまり雑木、自然な木々なのですが、赤枠の外はみな同じ樹木です。
正体は杉です。
杉を植林しているのですが、これが問題です。
実は赤い線のさかいで、山の持ち主が違います。
郡上の方より、愛知県や遠く千葉など他県の持ち主も多く、ほとんど手入れがされていません。
特に、もともと杉は根を深く張らないので、保水力が弱いです。
こんな細い杉ばかりでは、ちょっと雪が降ったり風が吹いたら折れてしまいます。
近年、植林された国産杉など建材の価格が、海外のやすい建材に押されてやすくなり、切り出すことすらしなくなりました。
植林されていても、ちゃんと手を入れれば良い山になるのですが、お金にならない林業を続ける人がいなくなり、すっかり山が荒れ果ててしまったのです。
巒頭風水(らんとう)では、形を重んじていますが、山の形が良かったとしても、山の力が弱っているのが現状です。
つまり、山の質を考えなければいけないのが現代です。
パワースポットと騒がれている場所はたくさんありますが、このような観点から見ると、力を失っている場所もかなりたくさんあるのです。
道路などの開発により、山間部も何かと便利な世の中になりましたが、逆に災害に弱い場所を作り出しています。
本当の意味での自然との共生を考えないといけない時代がやってきているのです。
伝統風水には、自然と共生する知恵が2000年分詰まっています。
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伝統風水師秀山